去年もこの映画見たんだけど、ふと見返したくなって改めてみるとその作品の緻密さ、完成度の高さに驚かされた。
自分の中ではこれまで見てきた映画の中で5指に入るほどの作品だと思う。


監督はドイツのミヒャエル・ハネケ。

この名前を聞くだけでファニーゲームやピアニストなんかを連想してうげーって思う人もいるかもしれない。
そう、この監督はハリウッド的な娯楽作品とは真逆に位置する、見る人を席に縛り付け、ポップコーンを食べる手が止まるような不快な作品を作る監督だ。


不快といってもゴア表現やホラーやエログロなんかではない、日常生活や人間心理、群集心理の中の毒を淡々と描く監督である。

おおよそ暴力表現は直接的ではないにしろあるのだが、見た人はおそらく直接描いてくれた方がましだと思うんじゃないだろうか。


そんな監督の作品をなぜオススメするかというと、この「白いリボン」がハネケの作品の中でもかなり映画に対するリテラシが試され、かつハネケの作品の中では見る人によってはただ退屈でちょっと深そうな作品に映るからだ。


実際自分の家族はこの映画に何の興味を示さず、ただ「渋いね」とだけ印象をつぶやく。


それもそのはずだと思う。この映画は2009年上映された映画なのだが、白黒フィルムなのだ。

以下トレイラー↓
https://www.youtube.com/watch?v=LFdw_wwaB-k 


日本語版のトレイラーは綺麗な作品に見せかけているが実際はもっと静かで、ハリウッドのような盛り上がりも歴史大河作品のような壮大さもない。

しかしながらワンシーンワンシーンが非常に印象的である。
初見では気づくことのできない恐ろしさ、複雑さ、意味の深さが込められている。

繰り返し見ると、一見つなぎのように見える意味のないようなシーンやセリフですら、多くのことを語っていることがわかる。



是非見てほしいのでネタバレは避けたいが、ハネケ作品に共通する、説明の少なさや能動的に見ないとただ不快な時間が過ぎるだけの映画であることは間違いない
ここまで挑戦的な作品もないだろう。


さて、あらかじめ見やすいように説明しておくと、非常に登場人物が多く、かつ先ほど述べたように説明が少ない。


舞台は一次大戦前のドイツのとある村。
これは架空の村だがフィクション性はほぼ皆無だ。

主人公は語り手の教師(31歳)
彼が戦争直前に村で起こっていた奇妙な出来事を、かくして人は悪に染まり、戦争に向かっていったといわんばかり、におぼつかない記憶を頼りに語っている。

登場人物は以下のグループで大まかに分かれている。


①主人公と恋人となるエヴァ

②作品冒頭で落馬するドクターとその隣人一家。隣人は助産婦でドクターの介護をしている。ドクターには14歳の娘と小さい息子、助産婦は知恵おくれの子供がいる

③男爵と家令の一家。男爵は村の権力者であり、家令はそれに次ぐ権力者。男爵は奥さんと息子(知恵おくれ?)と双子の乳飲み子がいる。家令にも子供は多くいるがあまりかかわってこない。男爵は複数の乳母や使用人を雇っており、主人公の教師とエヴァも雇われたことがある。

④小作人一家。男爵や家令に雇われており、逆らうことはできない。

⑤牧師の一家。牧師は厳格であり、複数の子供たちは牧師である父親に逆らうことができない。牧師は男爵ほどではないが村でそれなりの地位を持ち、畏怖の念を持たれている。


これらの前情報を頭に叩き込み、かつ当作品が複数の事件を扱った犯人探しのミステリであること、戦前のドイツの村社会の空気を反映していること、決して決めつけで見てはいけないことを念頭に置いてみてほしい。


テーマは見る人によってそれぞれである


純粋悪や嫉妬、暴力、村社会の格差や宗教への皮肉、歪んだ性のなす人間関係など・・・

この映画はミステリであり、監督は論理的に考えれば誰が犯人化は誤解することはないと説明しているが、多くの人が誤解するので気を付けてほしい。
語り手が記憶を頼りにおぼつかない語りをする、と述べたが、この作品中には犯人を巡るいくつものミスリードやノイズが用意されている。

しかしながらシーンひとつひとつを細かく観察すれば、自ずから一つの結論に帰着するだろう。


どうか普段娯楽作品に親しんでいる人ほど、茶化さずに我慢して二時間ばかりのこの映画を見てほしい。
もしあなたがそれなりの観察眼とリテラシを持っているのなら、きっと結末に恐怖することだろう。




*注意


・おもいっきしネタバレ有

・見てる前提で書くので説明は省き


見てきましたフォースの覚醒


ごみカスMTG理論の墓場と化してるページですがネタバレ防止のためにこっちで映画の感想を投げたいと思います


眠いけど感動さめやらないうちに



まず自分は肯定派ですフォースの覚醒


色んな意見があってネタバレ防止のためにどういった経緯でそういう感想抱いたのかみんなはっきりしないんですけど、自分は肯定します


まあ見る前はスピンオフやろ、って思ってました。最悪ターミネーター3以上エイリアン3以下のクオリティでも許せたが

結構期待以上のものになっていましたね


あらかじめ言っておくと自分は旧シリーズ、各三回以上は見てますがそんなに公式設定とか読み込んでるわけではないのでニワカファンであることは間違いありません


なのでけっこうざっくりとした考察になります


早速評価、まずよかった点


・飽きなかった、ダレがなかった
・カメラアングルが優れていた


この二つの印象が大きい

映画において飽きないってのはかなり重要


けどもSWシリーズってのはけっこう、政治シーンや作戦会議のシーンなんかカットしてもいいだらだらした会話が多かったりして、何度も見るとここ飛ばしてもいっか、って感じのシーンが多々ある

最低限ストーリー説明がSFには必要なのは仕方ないが、今作は非常にテンポよく、無駄ない構成だったと思う

ことSWに求めるものってドンパチとエンタメ王道ポップコーンでしょみたいなのが根底にあると思うので、サスペンスやミステリみたいな会話の言葉の「あや」で魅せる、なんてのはあまり期待してないんじゃないかなとは思う。


あとカメラアングル
これは言われてた通りすごかった
現代の映像技術ぜんぶ突っ込みましたみたいなもう

ギューゥゥゥゥン!!グワァァァァァンン!!!ドドガガガガガガガッ!!


まあ見た人はわかるよね
とにかくファイターの空戦をいろんな角度からガンガン撮るし、地上戦にしてもロングからグングンいく感じ?説明不要


そしてここから個人的な意見


・キャラが立っていた


これは良くも悪くもエイブラムスだから何だと思う

この監督はLOSTってドラマシリーズで群像劇を描いてて、かなりの数のキャラをそれぞれに焦点を当ててうまく描いていた


今作の決定的な印象の違いでもあると思う


ルーカスは比較的三人称視点から人物を描く、いわゆるトールキンや神話で書かれるようなスタイル、つまり観客はカミサマとなってキャラクタの動きを俯瞰しながら見るんだけど

エイブラムスは一人称視点でそれぞれの人物の体験を観客にリアルに感じてもらうような撮り方をしていたと思う

レイの序盤の食事シーンや

フィンのマスクをとるまでの経緯なんかがそれにあたると思う


とにかく観客とキャラの距離が近かった。そんな印象


ある種ここはルーカスの欠点でもあった気がする

人物に感情移入しづらく、淡白でわき役とメインとの境界線がとてもはっきりしている


エイブラムスはそれぞれのキャラが主役であり、名前を持ち、顔を持ちドラマがある
フィンを登場させてトルーパーに焦点を当てたのもそういう狙い逢ってのことだと思う。



お待ちかね悪かった点



まず、初心者に全然優しくない

旧作見てないとほぼちんぷんかんぷんだろう

感動シーンの大半が旧作がらみで、そこはちょっと魅力に乏しい

特別フォースに関する説明もなければジェダイとは何か、共和国と帝国の対立はなんなのか

ほぼ説明はない

雰囲気しか楽しめないだろうし、スカイウォーカーやソロという人物たちの何がそこまで重要なのか一見さんには理解できないだろう




そして真新しさがない


ファイターのデザインだとかトルーパーの衣装、武器や怪物にちょこっと手を加えただけでデススターは相変わらずデススターだし、ストーリーもやってることはほとんど4と同じ
ドロイドも新しいデザインはナシ、
非常に残念だしこの 「SFらしいデザイン」 に新しさを求めて見に行った人は多いんじゃないだろうか


しいて言えばフィンの存在くらいが真新しさ


エイブラムスは続編ばっか作ってる監督(制作・プロデューサー)なんだけど、この人の作品オリジナリティいっつもないんだよね


絵づくりにこだわりが感じられなかった

特に違和感があったのは宇宙空間の造形

隕石が少ない!!

まっさらな宇宙空間、小惑星との激突も少なそう

なんだか寂しいなあ

そして人が多い!!

ルーカスは4を除けば人とエイリアンとの割合が2:8くらいな印象なんだけど、エイブラムスは7:3くらいでつくってる印象

なんだかエイリアンがコスプレしてるみたいだった・・・人が映りすぎててまるで世界観が違う・・・


背景が殺風景なのも気になった


たぶんエイブラムスはロケにこだわったのだろう、背景は綺麗だけど、それだけに満足してCGで小物を書き足すことをせず、結果SFにしては殺風景に思えた。

とくにひどかったのは反乱軍のファイターの発着場

あれじゃ現実にもありそうだ・・・


敵キャラがすげーチープ

スヌーク?だっけか敵の指導者
B級感が半端ない
跳び蹴りで死にそうなデザイン何とかしろ

あれが無限のパワーを・・・とかやっても全然強そうじゃない
安いSFゲームに出てきそうなボスキャラだ・・・

カイロ・レンも初めてライトセーバー握った相手に翻弄されるしなによりこいつの小物っぷりどうにかならんかったのか
これにハンソロ殺されたらそら怒るよファンは



ご都合展開が多い

脚本力イコールご都合の少なさ、もしくはご都合でも許せる整然性なんだけど、ご都合主義はちょっと目についた

まずファルコン号が偶然にもレイのいる星にあるという・・・
そして酒場のある星で偶然にもルークのライトセイバー発見
レイとカイロ・レンとの勝負のとき偶然にもちょうど二人を分かつ形で地盤が崩れる・・・
最後のR2の覚醒もなんであのタイミングなのか説明はナシ

上二つはまだしも、下二つはかなり無理やり感あふれる



続編に期待できない


今作は旧作からの引継ぎであって、ある程度ネタが持っていた。
ソロの死や旧キャラの再会なんかがそう

しかし次回はそのネタも尽き、よりオリジナリティ、新しさを求められるだろう

正直エイブラムスは続編は作れても続編の続編を作れる人ではない

今作で納得できなかった人は次回作は見るべきではないだろう。





全体として否定的な意見が多いが、それはSWという作品の功績の量、7作目という超長期シリーズのハードルの高さ、制限の多さ故であって、見た印象としては非常に爽快感あるエンタメだったと思う。

細かい指摘を加味するとマイナスになりそうだけど、その辺に目をつむってみればいい作品だと思うし、純粋な気持ちで楽しめたのは確か


オタク、マジめんどいからもっと素直になって


以上です


CBA

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